海洋ゴミ楽器大図鑑
そのパーツのほとんどを
ポイ捨てされたもので作ったので
『ポイステッキン』と名付けました。
金属の鍵盤はポイ捨てされたアルミ缶を拾い集めて
高温の炉で溶かし、砂の型に流し込んで作られています。
・アルミ缶(250個)
・タバコのフィルター(64個)
・ボトルキャップ(12個)
・流木(製材されたもの)
・平ゴム
・ネジ
まずは材料集めから。今回はアルミ缶を250個集めます。
アルミ缶はスチール缶と違い、なかなか錆びたり風化しづらいため
釣りスポットの河川敷などでポイ捨てされた新鮮なものがすぐに手に入りますが
中にタバコの吸い殻などが詰まっていることが多いので洗浄する時も注意が必要です。
アルミ缶を全て洗浄して良く乾かしたら、炉を準備してアルミ缶を溶かします。
(しっかりと乾かさないと水蒸気爆発を起こす危険性があります。)
溶かしたアルミは砂で作った型の中に流し込みます。
充分に冷えて硬化したら砂の中から取り出し、これを音板の数だけ繰り返します。
音板一つ辺りに7~9個ほどのアルミ缶を使いました。
全ての音板を大体の形に整えたら
グラインダーで削った後に紙ヤスリなどを使って鏡面になるまで磨いていきます。
そして、音板をネジで固定するための穴を両端約22.4%の位置(支点)に空け、
この時点で音板を完全にチューニングします。
アルミは気温によって音程が変化するので、一定の条件下でのチューニングが必要です。
次は、たばこの吸い殻を釣りスポットや、歩道など人が立ち止まりやすい場所で入手します。
吸い殻を薄めたエタノールなどで洗浄したら、乾燥させて音板の支点の下に配置。
この位置は指などで触れても音が最大限持続するポイントですが、
硬いものに触れると振動が止まってしまうため
硬すぎず柔らかすぎないタバコのフィルターに着目しました。
ネジの頭に音板と干渉しないための平ゴムを付けたら
ネジで音板を流木に取り付けて完成です!!
この時注意が必要なのは、ネジを締めすぎない事です。
最後にペットボトルのキャップを地球の色になるように配合します。
ホットプレートで粘土状になるまで熱して形を整えたら
削って球体にし、割りばしの先に挿したら、マレットの出来上がり。
この『ポイステッキン』は
ゴミンゾクの楽器の中では
オーシャンウインドチャイムに続いて
2作目のアルミ缶鋳造楽器になります。
今回は、ポイ捨てされたアルミ缶やたばこの吸い殻、
そしてペットボトルのキャップから鉄琴を作るという
その行為自体が世界初の事例だったため
試行錯誤して長い時間をかけて作りながら
失敗したらどうしようという不安でいっぱいでしたが
仕上がってみると、音質的に
自分達の予想をはるかに超えた仕上がりとなりました。
ですが、実はこの楽器はまだまだ
ある楽器を作るための通過点に過ぎないのです。
to be continued...